バンドライフな毎日はいつの日か終わりを告げるのか
くすぶり続け早幾年。私はもう覇気を完全に失った。音楽を愛し、愛され、相思相愛だと信じ、ずっとやってきた。
「もう芽が出ないだろう。続けてもムダってもんだ」ムッシュかま奴が言った。
「下駄を鳴らして奴は来なかったんだよ、俺たちのバンドには。音楽の神様って奴が訪れなかったってことさ」
ムッシュかま奴は、ムッシュかまやつをリスペクトしているらしく、何かあるたび「下駄を鳴らして奴が来る」の歌詞を引用しては、ちょいちょい比喩表現を用いて上手いこと言ってる風に色んなことを説いてくる。しかしながらその殆どが強引だし、何より、「下駄を鳴らして奴が来る曲」の一点推しなのだ。それ以外の曲を知らないのかと問うたことはあるが、「何思う〜」と、やはり下駄の曲の一節で返してくるばかりなので、それ以上追求はしていない。
「もう解散かー」
そんなムードが私たちの間を漂った。これが俗に言う解散ムードというやつかー。と、妙に達観しきったようなことを思った。その時だった。
「ふざけた顔してババンバン…だな」
…えっ?
つづく