フェイクリアクション
マキコは言った。
「私ね、不感症なんだ」
俺は答えた。
「へぇ、そうなんだ」
沈黙が流れた。
マキコは俺をじっと見つめた。
「何」
「そうなんだ…って、私に興味ないんかーい」
「うーん、ないっちゃないかな」
「え…」
「いや、あるっちゃある、うん」
「どっちー」
「まぁ正直、不感症ってワード持ち出して、俺から何らかのリアクション引き出そうとするマキの狙いが見えたから、俺は興味ないフリをしたんだよ」
「えー何それ」
「だって、まんまと「えっそうなの!?それってどういうこと?えっ」とか、リアクションしちゃったらマキの思うツボだろ?だから、フェイクリアクションしたんだよ」
「フェイク…リアクションなんていう言葉あるんだ。初めて聞いた」
「まぁ、俺も今初めて聞いたし言ったけどね」
「なんだそんな言葉ないんだ」
「ないよ。まぁ、マキがとった「フェイクリアクションあるんだ」っていうリアクションはリアルリアクションだけどね」
「リアルリアクションって…リア多いわ」
「じゃあガチリアクションで」
「どっちでもいーわもう」
そういう言うとマキは俺の唇を奪い、体を重ねた。
自称不感症であるマキの自称フェイクリアクションが部屋中に響き渡った。